| <医学研究助成金報告書> |
| 全人的医療を実現するための地域づくりの実践的研究 |
| ー甲南保健クラブの健康づくり・むらまちづくり運動の試みー |
| 内科医 納 利 一 (55歳) |
| 腹痛の患者さんを診察しつつ考えさせられた。おなかの健康は体全体の健康の中にある。家庭の |
| 健康なくして家族の健康はない。会社が病めば社長が病み、社員が病む。社会の健康の中に人間 |
| の健康があることに気づく。人間社会が健康であるためには自然が健康でなければならない。すな |
| わち地球の健康の一部として一人ひとりの人間の健康がある。 |
| このたび診療室の中での患者さん方との対話から始まった開業医としてのささやかな地域活動に |
| 鹿児島県医師会医学研究助成金をいただいた。日頃考えていることを短文にまとめて、その報告書 |
| に代えたい。 |
| ひろい意味の健康への道を求めて |
| 私たちが生きている現在が人類社会の大きな転換期にあるということは異論のないところであろう。 |
| ではどのように変わろうとしているのか。私たち一人ひとりは、この重要な時期に、何を考え何をすれ |
| ばよいのか。 |
| 約1万年前、人類が農耕、牧畜を始めた頃から、自然の生態系の調和の中から逸脱した人類が異 |
| 常な増殖を始めた。地球を一つの生命体とすると、このとき人類社会が地球の健康を害する癌組織 |
| になったと言われている。それがいよいよ末期癌の様相を呈しはじめている。 |
| このことに気づき、宿主である地球の生命と共に消滅する道を回避し、地球の健康の中で、他の動 |
| 植物と共生していく道を求め始めたのが現在の人類の姿であろう。 |
| 交通と通信の発達で全人類のネットワークができ上がった。地球を一つの生命体とすると一人ひと |
| りの人間が神経細胞であり、人類社会が地球の脳神経組織になったと言えよう。国連など国際的な |
| 政治、経済活動が運動神経系に相当し、ロータリーやライオンズなど国際的な奉仕団体は地球の健 |
| 康維持のためになくてはならない自律神経系である。と言えるであろう。 |
| 地球の脳神経組織となった人類社会が何を考え何をするかで地球の運命が決る時代になったわけ |
| である。地球の健康にとっての癌組織であった人類社会が地球の脳神経組織に変わり、人類の共通 |
| 目標「この地球を生命を育む星として永続させたい」の実現に向け歩き始めなければならない時であ |
| ろう。 |
| 現在は世界的戦国時代から地球的調和時代への大転換期であると言えよう。日本的戦国時代の |
| 次の時代、狭い国土の中で他の動植物とも共生してきた江戸時代の島国運営の知恵を地球時代の |
| 球国運営に活すべきときではなかろうか。 |
| ロータリーやライオンズの精神を地域社会へ |
| 地域社会の知恵をロータリーやライオンズを通して 世界へ 未来へ |
| 古今東西の知恵を集めて 健康づくり・むらまちづくり |
| 地域の健康から世界の健康へ 現在の健康から未来の健康へ |
| むらまちづくり |
| 養生のすすめ クリックすると関連の頁が出ます。 |
| 小さな光になろう |
| 希望のメッセージ |
| 文 献 |
| クリックすると文献が出ます。 |
| 納 利一 :医療界の大転換期に直面して ー今何を目指し、何をすべきかー |
| :鹿児島県医師会報第388号(1983年10月)3-7 |
| 納 利一 :生まれて、死ぬのに安心な町や村に ー人間のための新たなユートピアを求めてー |
| :鹿児島県医師会報第417号(1986年3月)8-11 |
| 納 利一 :専門医的開業医グループによる都市型家庭医システムを支えるもの |
| ー情報のネットワークによる社会資源活用への道ー :鹿児島市医報27(7)4-7 NO,293.1986 |
| 納 利一 :明日の世代へ希望のメッセージを :鹿児島市医報26(1)45-47 NO,299.1987 |
| 納 利一 :未来の開業医活動への期待 :鹿児島市医報26(2)28-30 NO,300.1987 |
| 納 利一 :健康づくり・むらまちづくり・ ーひろい意味の健康への道を求めてー |
| :鹿児島市医報33(2)54-57 NO,384.1994 |
| 共 同 研 究 者 (役職などは本論考発表当時のものです。) |
| 原口哲夫(甲南保健クラブ会長、薬剤師) |
| 尾上道雄(ヘルシーニュース編集長、環医療研究所事務局長) |
| 竹田寿昭(ヘルシー相談室の相談員、環医療研究所研究主任、医療ソーシャルワーカー) |
| 緒方義秋(再発予防友の会事務局長、社会保険労務士) |
| 泊平八郎(健康のツボ学校の校長、鍼灸師) |
| 前田和弘(かけはしの集い事務局長、一級建築士) |
| 味噌耕一(社団法人生命科学振興会鹿児島県支部事務局長、病院経営研究家) |
| 三方聡(社団法人生命科学振興会事務局長) ・ 平岡貞吉(東洋思想研究家) |
| 海江田能武(地域づくり研究家)・ 石神兼康(地域づくり研究家) |
| 山下巌(教育研究家) ・ 高浜正海郎(教育研究家) ・ 安田力(企業経営研究家) |
| 島元安二郎(企業経営研究家) ・ 林田和明(企業経営研究家) |
| 荒武悠晴(社会心理研究家) ・ 山下良一(青少年問題研究家) |
| 川上鉄太郎(ロータリー研究家) ・ 有村和久(ロータリー研究家) |
| 浜田紘一(ロータリー研究家) ・ 茂谷浩司(ライオンズ研究家) |
| 鹿児島県医師会報521号 1994年 (平成6年)11月 より転載 |
| 東洋医学的健康づくりの実践的研究 |