求めるべきは景気か空気か
                                    内科医  納  利 一  59歳
 「景気が・・・」という会話を耳にするようになってから久しい。タクシーの運転手さんに
「景気はさておき、世間の空気はどうですかね」と話しかけてみた。「空気ですか、悪い
ですね。親切心から注意してあげても、何をうるさい、とにらみつけられることが多い。
見て見ぬふりをしたくなりますよ」
 私たち国民の一人ひとりが求めているのは「空気のよい日本」であり、「空気のよい
国際社会」なのではなかろうか。家風、社風、校風、風土の美などという言葉がある。
お金は無くてもなごやかな空気の家庭、給料はそこそこでも働きやすい空気の職場、
友達がいて学びやすい空気の学校、風光、人情ともに美しく住みやすい空気の地域
社会、風とは空気の動き、よい空気を目指す意味であろう。
 目標とすべきは景気ではなくて空気であるような気がしてならない。
               1999年 平成11年3月25日 南日本新聞 「ひろば」 より転載
むらまちづくり甲突川