水を飲める甲突川後世へ
                             内科医  納  利 一  (57歳)
 内村鑑三著「後世への最大遺物、デンマルク国の話」が岩波文庫にある。
天文学者ハーシェルが20歳の青年であったころの言葉が引用されている。
「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより
世の中を少しなりともよくして往こうではないか」と友人に語ったそうである。
 この地球を生命をはぐくむ星として永続させたい。この人類共通の願いを
実現するために、甲突川の流域に住む私たちの努力目標を「甲突川を水を
飲める川として後世に残したい」としたらどうだろう。流域の森の健康、土の
健康、水の健康を目指すことになる。海の健康、空気の健康にも波及してい
くであろう。人間・社会・自然が調和し、共生していく道を求めることになる。
 プロシヤとの戦いに敗れ、その領土の半分を奪われたが、国内の荒地に
植林して失った以上の富を得た、という内村鑑三の「デンマルク国の話」が
参考になる。
              1997(平成9)年9月26日 南日本新聞 「ひろば」 より転載
もりづくり甲突川