君の責任
                          鹿児島市立甲南中学校 2年7組 納 利一 (14歳)
 君は一人しかいない。永い歴史において、世界をすみずみまで見渡してみても、君は
一人しかいない。したがって君でなければ出来ない仕事が有るのだ。君だけのやれる
仕事が、君がやらなければならない仕事が君の前にまっている。君の責任は重い。もし
君が責任をはたさなかったら、社会の動きに悪いえいきょうをあたえる。社会に対してす
まない事をしたといえる。
 たとえば、君が今から一生けんめいに努力し、学問の道をすなおに、まっしぐらにつき
すすめば、偉大なる大医学者となり、1本の注しゃで万病のていこう力をその人にうえつ
ける注しゃを発明する優秀な才能をもっている君が、もし学問上のかん難につきあたり、
かんなんにかてず、学業をおこたったとすれば、今までどうりに何万何億というとうとい
人の命が病のためにうばわれていく。君はこれを助けるだけの力を持っていたのに。
 また、これを身近な事にたとえると、君のお父さんが重体、いつ息をひきとるかわか
らないとする。その時、君が医者をよんで来さえすればお父さんは助かるとする。
 もし君の家が山おくの一けん家で、医者の家まで二里、一山こしていかなければな
らない。時は夜の2時、山々にこだまして、さびしいふくろうの声、おそろしいおうかみ
の声が君の耳に聴えてくる。ここで君がこの難関を突破すれば、お父さんは助かるが、
君がここで難関にかてず、行くのをやめてしまえば、もう二度と元気なお父さんの顔
を見る事も出来ない。こうなってからではだめである。
 このように君一人が責任をはたさなかったら、他の人々に迷惑を及ぼす事となるのだ。
 だからぼくたちは今から大きな心を持ち、少しぐらいの事でぐらつかない心を持って、
大きな将来を目指して、ただ直っしぐらに、つきすすもうではないか。
 きっと、きっと、社会に出て人々のおやくにたてる人間になることを目指して、この中
学時代にしっかりとした基礎をきづこうではないか!!
 校内の弁論大会で発表し、学校代表となり、市内の中学校の合同の弁論大会で発
表した時の原稿です。14歳の少年時代の私から、71歳の老人の私への「希望のメ
ッセージ」です。これからも初心を忘れず生きていきたいと思います。
         納 利一 71歳 平成23年2月20日(父の24回目の命日)
甲突川希望のメッセージ