川が死ねば海が人が死ぬ
                                  内科医  納  利 一  (54歳)
 「森が消えれば海も死ぬ ー陸と海を結ぶ生態学ー 」 講談社ブルーバックスの
一冊が目に止まった。著書は北海道大学水産学部教授・松永勝彦氏。人間・社会・
自然の共生を目指した研究を続けておられ、第一回環境水俣賞を受賞された。
 森の栄養が海の生物を育てる。森と海を川が結んでいる。川は水の中にしかすめ
ない動物や植物の生命の入れものである。川は死ねば海が死に、人も死ぬ。
 甲突川をどのような川にするか、いろいろと論議されている。この本を読んで甲突
川の健康を考え、錦江湾の健康を考え、できるところから実行に移していけば、人
間・社会・自然の共生モデル都市とて、鹿児島市から世界に情報を発信できるよう
になるかもしれない。
            1994(平成6)年4月17日 南日本新聞 「ひろば」 より転載
もりづくり甲突川